Chapelle Notre-Dame du Haut | 1955
ロンシャンの礼拝堂
- 設計者 : ル・コルビュジエ
- 別名 : ノートルダム・デュ・オー礼拝堂
- 竣工年 : 1955年
- 所在地 : フランス フランシュ・コンテ地方
日本語では「ロンシャンの礼拝堂」と呼ばれる。
信徒が所属する小教区(仏: Paroisse、いわゆる教会)ではなく礼拝堂(仏: Chapelle)で、大陸を跨ぐ初の世界遺産登録となった世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」の構成資産の一つでもある。日本での構成遺産は東京・上野「国立西洋美術館」。
元々巡礼の地であったロンシャン。この地には中世に建てられた礼拝堂があったが、第二次世界大戦時ナチス・ドイツの空爆により破壊されてしまう。そのため戦後ロンシャンの人々が再建を願い、神父の推薦によってル・コルビュジエに設計が依頼されることとなった。1950年に設計が始まり、1955年に竣工。
/block>「ロンシャンの礼拝堂」の設計者ル・コルビュジエが世に残した住宅建築の中に「サヴォア邸(1931年)」という非常に有名な建築がある。これはモダニズム建築※1 の原点で傑作とも呼ばれる建物で、この建築をはじめコルビュジェ建築は「直線的」なものが多い。しかしこの「ロンシャンの礼拝堂」は曲線的で彫刻のようなフォルムが特徴になっている。
直線のイメージを覆すような新しい可能性を模索した「ロンシャンの礼拝堂」はその美しさによりコルビュジェ後期の代表作ともされ、1980年代を中心に流行したポストモダン建築※2 の先駆けとも言われている。
- ※1 モダニズム建築とは、「禁欲的な四角い箱」とも評される装飾性やデザイン性を廃した機能主義・近代合理主義に基づく建築。工業生産による材料(鉄・コンクリート、ガラス)を用い、シンプルで直線や平面で構成される建築スタイルを指す。近代建築とも呼ばれる。
- ※2 ポストモダン建築とは、モダニズム建築への批判から提唱された建築スタイル。合理的で機能主義的となった近代建築に対し、その反動として現れた装飾性・折衷性・過剰性などを回復させようとする建築のこと。