Observation Sketches

  • 設計者 : 前川國男
  • 竣工年 : 1942年
  • 所在地 : 小金井 江戸東京たてもの園

前川國男が自邸として1942年(昭和17年)に東京都品川区上大崎に建てたもの。1973年(昭和48年)に解体され解体材の状態で保管されていたが、その後前川家から「江戸東京たてもの園」に寄贈され、1996年(平成8年)に再建された。

戦時体制下※1 、建築資材の入手が困難な時期に竣工。建築資材が乏しいだけでなく、広さなどさまざまな規制があった中で作られた建物。家の中心となる正面の円柱は電信柱を使用したのだとか。

切妻屋根の瓦屋根、黒く塗られた壁に純和風な外観はあえて目立たないように作られたかのよう。しかし内部は吹き抜けの居間を中心に洋風な内装になっており、書斎・寝室を配したシンプルな間取りで前川國男らしいモダニズム※2 の精神があふれている。

  1. ※1 1939年に始まった第二次世界大戦の最中、太平洋戦争(大東亜戦争)の真っ只中でもあり、日本本土に初空爆がされた時代でもある。
  2. ※2 モダニズムとは、建築において「禁欲的な四角い箱」とも評される装飾性やデザイン性を廃した機能主義・近代合理主義のことを言う。工業生産による材料(鉄・コンクリート、ガラス)を用い、シンプルで直線や平面で構成される建築スタイルを指す。その建築はモダニズム建築や近代建築と呼ばれる。

江戸東京たてもの園のサイトでは、360度パノラマビューで復元建造物を歩くように観ることが出来る。前川國男邸は西ゾーンのW6。遠くて観に行けない方もぜひ。